3.11より思う「写真の尊さ」「保存方法」について
東日本大震災から8年が経ちました。
被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
津波の影響で多くの写真アルバム、写真データが水没したり海に流れました。
復興の進む中で、その写真アルバムが自衛隊により集められ、ボランティアによる写真洗浄プロジェクトが話題になったことを覚えてらっしゃる方が多いと思います。
当社も「被災地写真洗浄ボランティア」としてお手伝いをさせて頂きました。
東京へ集められたアルバムは、学生や会社員の方、様々な年齢、男女問わず本当にいろいろなボランティアスタッフにより丁寧に洗浄され、新たにアルバムにセットされ被災地へ返却されていきます。
当社は陸前高田、気仙沼、閖上から集められたアルバムの洗浄をお手伝いしました。
洗浄作業は水を張ったバットの中で写真一枚一枚、指で泥を取り除き、きれいにしたら干して乾かします。
強く洗浄すると写真面がはがれてしまうので、ゆっくり丁寧に作業します。
写真面がはがれてしまいそうなものは触らずに、汚れのついたまま写真を撮り、複製を作ります。
その後、ミニアルバムに写真を入れて被災地へ返却します。
当然なのですが、すべての写真はお会いしたことのない方のものですが、作業しながらその写真を見ていると、どの一枚一枚も思い出が詰まっていて、素晴らしい写真ばかりという事にきづかされます。
結婚式の写真、赤ちゃんの写真、入園入学、卒園卒業、学校や仲間との集合写真、会社の旅行、たわいのないスナップ写真、などなど。
「一日でも早く、一枚でも多く、一枚でもきれいに届けたい!」「必ず持ち主のもとへ届け!」という気持ちで、この作業を朝から晩まで毎日繰り返しました。
洗浄作業の中で様々なことに気づくのですが「洗浄して写真として残せるもの」の共通点は「写真屋さんで写真プリントしたものでアルバムに保存したもの」だけでした。
ホームプリンターやインクジェットで写真プリントしたものは、水没することで画像面がはがれていました。
インクが水に弱く溶けてはがれてしまう事を表しており、洗浄すると写真画像がなくなります。
それに対して、写真屋さんの写真プリントは現像液を通って発色し乾燥させる方式のため、水には強く、濡れても乾かせば元に戻る性質を持っていました。
そのため洗浄しても写真画像は残ったのです。
またアルバムで保存されなかったものは、海水や真水をもろに浴びているため腐食が進んでいました。
腐食の進んだ写真プリントは洗浄すると写真画像が無くなってしまうため、洗浄せず汚れた状態で写真を複製しました。
それに対して、アルバムで保存したものは写真面に一枚透明のフィルムが乗っている状態のため、直接の海水や真水を受けにくくフィルムがガードしてくれています。
腐食は少なく、フィルム面を洗浄すれば写真面は良い状態で残りました。
無論、汚れたまま時間が経過すれば腐食や退色などがすすみコンディションが悪くなりますので、完全に元通りというわけにはいきませんが、「写真屋さんのプリントでアルバム保存が一番残せる保存方法」という事を、ボランティア一同で再確認しました。
パソコンやSDカードの写真画像は水没で全部見れなくなっていたので言うまでもありません。
写真洗浄ボランティアを経験すると「写真プリントの大切さ」を痛感します。
普段、スマホ、デジカメ、パソコンで写真を保存している方がいらっしゃると思いますが、本当に重要なもの、無くしたくないもの、未来に残しておきたいもの、すべて写真プリントで残すことをおすすめいたします。
スマホの紛失や水没、デジカメやパソコンでの誤作動や故障によるデータ消去など、一気にすべてのデータが無くなってしまう可能性があります。
「あなたにとって写真とは?」
人それぞれ人生があり、思い出があり、未来に残したいから写真を撮ります。
その写真は自分だけではなく、周りの人たちにも影響を与えるものがたくさんあります。
写真は時間が経過すればするほど価値が高くなることを私たちは知っています。
なぜなら過去に戻れないことをわかっているからです。
みなさんの大切なその写真たちを、データという形で存在させるだけではなく、写真プリントという物にして存在させてほしいと強く願います。
写真屋さん21では、いまの自分と周りの人たちを残し続けるため、写真の尊さを伝えるため、保存方法として一番の写真プリントとアルバム保存をおすすめしています。